2009年、信州に移住した私が初めて携わった住宅が徳治郎の家だ。
名古屋で3年、鉄骨やコンクリート造を主に商業施設の設計に従事した後に飛び込んだ新天地で、私は住宅設計の奥深さを思い知った。初めて携わった住宅が徳治郎の家だったことは幸運だった。特筆すべきはその施主力だった。
信頼のおける職人だけで建てる事、(職人を選んだ)自己責任で保証はつけない事(職人にお金が渡る事)、合板と接着剤を使用しない事などが要望に挙がった。
当時の経験が、無知だった私の指標として、今の設計活動に大きく影響している。
あれから10年、当初から画策していた2階子ども部屋化のご相談をいただいた。子ども達は私の事は覚えていなかったけど「加藤さんがいないとボクたちの部屋ができない」と言ってくれて可愛かった。
棟梁をはじめ、建具屋と材料屋も当時のメンバーに声を掛けさせていただいた。例に漏れず、本計画も国産杉の無垢板と漆喰のみで仕上げた。新しい杉の壁はまだ白いけど、直ぐに馴染むと思う。引き戸はできるだけ開けっぱなしで。篭りたい時だけ閉じてね。
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