設計事務所は予算を守らないのか!?

実施設計が終了したので、施工管理をしてくれる滝澤工務店さんにお見積りの依頼をしました。鍋田の家は滝澤さん一本の特命見積もりです。1か月後に出てくるお見積りが、施主から聞いていたご予算に見合わなければ工事契約に進めません。しかしながら、初回のお見積りで予算以内に収まった事は、15年近い設計事務所経験の中で一度もありません。「設計事務所は高い」と言われる一番の理由だと思っています。こんな事を記事にすれば信用を失いかねませんが、とても大切な事なので正直に綴ろうと思います。

 

事前に2018年5月14日の記事を読んでいただきたいです。

 

家づくりの0歩目と称して、まずはご予算を決めていただきます。そのうえでご要望をお伺いし基本設計(家づくりの第一歩)を始めます。私なりの経験と直近の情勢から、ご予算に見合う計画を心掛けますが、この段階でご要望を諦めていただく事はありません。「おそらく減額調整項目ですが見積もってみましょう」と前向きです。この後の減額変更の苦悩は重々承知です。施工会社にも再見積もりをさせてしまい申し訳ないです。「だったら初めからそんな図面を描いてはいけない」と私も以前は思っていました。しかし、一見無駄に思えるこの工程が実はとても大切です。理由は2つあります。まずは施工者につくりたい建築を素直に伝える為です。つくり手の意見も踏まえて減額方法を一緒に考えれば実現するかもしれません。次に、提示された金額と照らし合わせ減額事項を取捨選択する事で、住まい手にとって本当に大切にしたい事を見極める為です。結果的に掛かる金額が同じでも、粘ってからの減額案の方が建築の質は高いはずです。

 

上の画像は鍋田の家の減額案事項の一部です。製品名や金額は伏せましたが小さな減額案の積み重ねと、中には苦渋の決断もあってご予算に擦り合わせていきます。表題の答えですが「初回のお見積りは予算オーバー、その後、三者が尽力して予算に合わせます」2020.04.07

コメントが送信されました。

前のページに戻る